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ノチェブエナR&D社長 ロヘリオ・ノチェブエナ 第4回 ナノテクノロジーがエネルギー危機の助人に②
前回のニュースレターで太陽エネルギーと燃料電池について触れたので、今回はナノテクノロジーがエネルギー生成と省エネルギーのためにどのように役立っているか、さらにはSouthern California Nanotech Communityが研究をしている、化石燃料への依存度を軽減するためのテクノロジーなどに焦点を当てたい。 Nate Lewis教授が指摘するように、他の条件が等しければ、コストの点で石炭や天然ガスによる発電に太刀打ちできるテクノロジーは風力発電しかない。風力発電では1キロワットの発電にかかるコストは4セントで、電気代の安い中西部の人々が1キロワット当たり8セントを支払っていることを考えれば、かなり有望なテクノロジーである。ちなみにカリフォルニア州は環境規制が厳しく他の市場要因もあることから、1キロワット当たりの電気代は平均12~14セントである。 では、すでに低い風力発電のコストをもっと下げるためにナノテクノロジーに何ができるのか?というのは妥当な質問である。これには2つの答えがある。1つは発電機のモーターの効率をあげること。もう1つは風車の羽の改善である。 先ず、発電機のモーターについてである。ナノ結晶性イットリウム・サマリウム・コバルト粒で作られた磁石は、極端に大きな粒界領域のため、ずば抜けた磁気特性を持つことがわかった。ナノ粒子で磁石を作ることで、より効率の良い軽量発電モーターの製造が可能になる。 同様の効果が、ナノ粒子コーティングしたワイヤーを使用することでも得られる。ワイヤーにナノ粒子をコーティングすると抵抗が減少し、熱の発散を抑制できる。このワイヤーを発電機の巻き線や伝送線に使用し、上記の磁石と組み合わせることで配電コストの減少が可能になる。 次に、風車の羽の改善についてであるが、ここで述べなくてはならないのが羽の面積、スピードと発電量の関係である。羽の面積が大きくスピードが速ければ、発電量は増す。 この点について研究しているのがカリフォルニア大学アーバイン校の前教授で、現在フィンランドのAmroy社(Amroy Inc)で研究にあたっているDr. Jorma Virtanenである。Dr. Virtanenと彼のチームは、優れた張力と圧縮性があり、高いヤング率と伸び特性を持つエポキシマトリックス樹脂を開発した。この驚くべき開発に貢献したのがエポキシ分子を共有結合させて炭素原子の網目結合を強化させたカーボン・ナノチューブである。 このカーボン・ナノチューブの構造には、前述したような驚くべき特性がいろいろあるが、熱伝導性に非常に優れているため、この構造を持つエポキシマトリックス樹脂は、軽量で強い発電用風車の羽を製作するためには理想的な素材である。Dr. Virtanenと彼のチームはヨーロッパではすでに知られた存在であるが、アメリカ市場での足固めのため今回Palo Alto社から資金提供を受けた。詳しくは、ここ を参照されたい。 風力による発電は通常、交流電流で供給されるため、配電網に接続するには問題はなく、また昼でも夜でも風さえあれば発電が可能である。 一方、太陽エネルギーの場合、供給は直流で、しかも太陽が出ていないと発電はできない。そこで次の2点が問題になる。1つ目は直流から交流に変換し電圧を上げるためにインバーターを用いなければならない点である。 2つ目は、余分の電気を貯蔵する蓄電池群の問題で、現在最も一般的に使われているのが鉛酸蓄電池である。しかしながら鉛酸蓄電池は耐用年数が5年以下と短く、再充電サイクルにも限りがある。さらにはコストの面、不要電池の処理の問題なども含み、太陽エネルギーの利用に歯止めをかける実用上および環境上の問題を多く抱えている。 再充電可能な電池の研究で一読に値するのが、カリフォルニア工科大学Rachid Yazami教授のリチウム・グラファイトを負極に用いた電池についてである。グラファイト電極は、酸化物や窒化物あるいは金属間化合物などの合金ベースの電極に比べ、容量が大きく優れた周期性を持つという長所がある。さらにはパッシベーション、界面現象、動力学、リチウムインターカレーションの熱力学、自己放電などの面でも優れた特性がある。Yazami教授は、カリフォルニア州アズサ市に電池会社を設立したばかりである。詳しくは、 ここを参照されたい。 ネバタ州リノ市にあるAltair Nanotechnologies社も紹介に値するだろう。同社は充電時間10分、2万回の再充電が可能、そして耐用年数が1年以上という電池を開発した。 この電池の卓越した性能は、リチウムとタイタニウムのナノ粒子(50ナノミリ以下)で電池の電極をコーティングすることで達成された。成功の鍵となったのがナノ粒子の多孔性で、これにより電流が干渉をそれほど受けずにコーティングを通ることができる。 面積が大きい羽を使うことでもたらされる恩恵は、電池の構造上の壊滅的欠陥である熱暴走と内部インピーダンスを回避できることである。なぜなら電流容量が大きくなるにつれ熱応力が緩和されるためである。 時間がたつにつれ内部インピーダンスが大きくなりすぎると、電池内部でのイオン生成量に変化がなくても、電池から少量の電流しか流れ出なくなる。これにより電池が切れたという錯覚を起こさせてしまう。 熱暴走は、最悪の場合バッテリーが爆発するため非常に危険である。そのため電池を使用する際に、熱暴走を避けることを念頭に置くことは大変重要である。詳しくは、 ここを参照されたい。 エネルギー貯蔵というテーマで話をするなら、ウルトラ・キャパシタを外すわけにはいかない。ウルトラ・キャパシタは、100年以上も前に発明された古い型のキャパシタであるが、最近、このコンデンサにナノ粒子を使うことで蓄電容量を大幅に増やすことが可能になった。JEOL(日本電子)は、ナノゲートカーボンを電極に使用した高容量で充電時間も非常に短いキャパシタを開発した。詳しくは、ここ を参照されたい。 アメリカにもキャパシタ開発に関わっているチームがある。ローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore)のTroy Barbee 氏が率いるチームで、彼らは40ナノミリ以下の薄い導電層と絶縁層の交互積層によるナノラミネート構造を導入することで、高電圧で機能し放電速度の速い巨大な蓄電容量を持つキャパシタを開発した。このキャパシタは、10メガパスカルもの蓄電容量がある。 ナノラミネートの層は、高真空の環境においてスパッタリングによって低温で積層される。絶縁層の誘電率を適格に選択することで高電圧(1キロボルト)で機能する巨大な蓄電容量のキャパシタを実現した。静電容量と高電圧の両方を達成していることから、Barbee 氏のデザインは絶縁破壊電圧と誘電率が高い素材を選択し、使用したと考えられる。詳しくは、ここ を参照されたい。 ここで、スコットランドで開発され、ようやく日の目を浴び始めた発電技術を紹介する。海洋エネルギーであるが、これはイギリスや日本など天然資源の少ない国には特に重要な課題である。海洋エネルギーは発電の中でも一番クリーンな発電技術といえるだろう。潮の干満や波は常にあるのだから、それを利用して発電することができれば、化石燃料による発電への依存を軽減することが可能になるだろう。 直径が3.5mほどで長さ140mのチューブを想像していただきたい。このチューブの内部には、モーター発電機装置、油圧シリンダー、制御機構などが設置されており、最高750kWまで発電できる。これがPelamis海洋波発電装置であるが、年平均では定格出力の25~40%で発電を行っている。現在ポルトガルの沖にあるAguçadouraプロジェクトは、200万ワット以上の電気を1500万ドル以下で発電している。太陽光発電や風力発電あるいは化石燃料発電で、これより低コストで発電ができるだろうか?ナノテクノロジーによって可能になったナノ粒子TiO2構造を持つ素材を使用することで、腐食を最低限に抑えることができるため、システムの耐用年数も長くなる。詳しくは、 ここ を参照されたい。 もう1つ、ほとんど無料で誰も注意を払わなかった物からエネルギー生成をすることを考え付いた企業を紹介したい。製油所や発電所など高温処理を行う施設の排気管からは大量のエネルギーが廃棄されている。アメリカ中西部にあるRED (Recycled Energy Development)社は、排気管から放出される熱い空気をリサイクル利用し蒸気発電を行っている。これにより利益を得るだけでなく二酸化炭素を軽減することにも役立っている。詳しくは、ここを参照されたい。 化石燃料への依存度を軽減することが如何に巨大なチャレンジであろうと、克服すべき多々の問題解決にナノテクノロジーが一役買うであろうし、我々の創意工夫と意志により廃棄物問題を解決できるであろうことは予想にかたくない。 ロヘリオ・ノチェブエナ ロヘリオ・ノチェブエナ氏(Rogelio Nochebuena)はカリフォルニア州パサデナの小さなコンサルティング会社、ノチェブエナ・リサーチ開発会社(Nochebuena R&D)の社長である。ノチェブエナ・リサーチ開発会社は、レーザーとナノテクノロジー分野において大手企業だけでなく中小企業も対象に、コスト効率良く諸問題を解決するための支援サービスを提供している。さらに、技術移転、知的所有権の商業化、ライセンス化、技術革新管理とビジネス戦略などの分野においても多くの専門知識をもっている。 ノチェブエナ氏はメキシコ市の国立科学技術専門学校(National Polytechnic Institute )にて理学・電気工学課程(Bachelor of Science, Electrical Engineering-lBSEE)を終了し、ブリガム・ヤング大学(Brigham Young University)にて電気コンピュータ工学士(MEE)を取得した。また、ペパダイン大学(Pepperdine University)では経営学修士号(MBA)、ライス大学(Rice University)の材料科学分野では大学院の学位を取得した。氏はレーザーと 量子エレクトロニクス分野で数々の特許を持っている。 高技術分野での20年以上にわたる経験をもつノチェブエナ氏は、新規事業開始に関わるとともに、フォーチューン100社に勤務する経験も持つ。これまでに、アジレント・テクノロジー社(Agilent Technologies)、ゼロックス社(Xerox Corp)、カール・ツァイス社(Carl Zeiss)、パーキン・エルマー社(Perkin-Elmer)など著名な会社に勤務し、シニア・テクニカルやマーケティングを担当した。氏がコンサルティング実務を提供したクライアントには、ローレンス・リバーモア国立研究所(Lawrence-Livermore National Labs)、インテリジェント・オプティカル・システムズ社(Intelligent Optical Systems)、一流大学やグローバル・テレコミュニケーション会社などがあげられる。 ノチェブエナ氏は、レーザーとオプトエレクトロニクスの材料、機器について特に専門的な知識や技術ならびに経験を有しているが、物理科学と生物科学両分野でも多大なる知識と実績をもち、バラエティに富んだプロジェクト開発に関与してきた。世界的に有名なゼロックス・パーク(Xerox PARC)に勤務している間、原子間力顕微鏡の共同発明者であるカル・クウェート教授(Prof. Cal Quate)よりナノテクノロジーについての指導を受けた。それ以来、ナノラミネート、オーガニックナノチューブ、オーガニック発光ダイオードや太陽光発電技術などの様々なプロジェクトにも関与してきた。 最近、氏は、アンジェル・ストラテジー社(Angel Strategies)の駐在役員に指名され、医療機器、先端材料、およびバイオテックの分野で、テクノロジー評価や投資のための適正評価に関する責任者を務める。氏は、カリフォルニア工科大学とマサチューセッツ工科大学の企業フォーラム・エグゼクティブ委員会のメンバーでもあり、技術進歩において世界をリードするプロフェッショナル団体である、IEEEレーザー電子工学学会(IEEE LEOS)の支部副議長の地位にあることから、地元および国際的セミナーや会議でパネリストを務めた経験もある。 |
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