| Caltech/MIT企業家フォーラム報告 |
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JETROロサンゼルス ステファン・ヴォス 第4回 ソーシャル・ネットワーキング・サービスの起業ポテンシャル
過去5年間でFriendster, MySpace, Facebook、LinkedInといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は著しい成長を遂げてきた。そして、南カリフォルニアは、SNS世界最大手のMySpaceの発祥地でもあり、多くのキープレーヤーが存在する。
既に主要プレーヤーが確立された市場にもかかわらず、なお起業の可能性を秘めている。長年に渡り市場リーダーであったFriendsterに代わってトップの座を奪ったMySpace、そしてMySpaceに対抗するかのように進出してきたFacebookを考えると、スタートアップ企業にも開拓の余地は十分あると言える。
2008年1月12日、Caltech/MIT企業家フォーラムの一環で、SNSをテーマとするセミナーが開催され、200名以上が参加した。キーノート・スピーカーとしてMySpaceの設立チームメンバーでSodahead.com代表のJason Feffer氏とMahalo.comの最高技術責任者のMark Jeffrey氏が招かれた。さらに、パネル・ディスカッションにおいてSK Telecom InternationalのJoe Jasin氏、TechEmpower社のTony Karrer氏、Momentum Venture ManagementのStuart MacFarlane氏、そしてCaltech Alumni Associationの常務取締役であるAndrew Shaindlin氏が招かれ、パネル・ディスカッションを行った。 今や加入者数1億人を越えたMySpaceの業務最高責任者であるFeffer氏は自らの体験談をもとにSNS市場の特徴を語った。2006年にMySpaceを去りSodaHead.comというサイトを立ち上げたFeffer氏は、MySpaceのような強力なプレーヤーがいることで市場参入をあきらめることは無いと述べた上で、MySpaceを例を語った。加入者数1000万人を誇っていたFriendsterが市場を独占していた2003年にMySpaceは設立された。当時、Friendsterは知り合い同士をネット上で繋げるというコンセプトを軸に成功を遂げていたが、MySpaceは自由なページデザインを設けた。この結果、空想上のプロフィールやクリエイティブなページを作れる利点がMySpaceの加入者数を押し上げるきっかけとなったのである。 次にネット広告からの収入を上げるため、訪問者数の増加に注力し、収益力を高めることに集中したという。このように着実に価値を高め、2005年にはNews Corpへの売却に成功したのである。 MySpaceの広告部門の責任者時代の経験を生かし、Feffer氏はネット広告を基盤にしたビジネスモデルの仕組みを語った。SNSの収益性にネット広告は欠かすことができず、そのためにはユーザー数の増加が必要だと述べた。しかし、SNSがもたらす真の価値は、プロフィール作成の過程で提供される情報をもとに、広告を特定のユーザーに振り向けることが可能という点であろう。例えば、マニアックなウェブサイト(例:熱狂的なスポーツカーファン向け)の広告バナーがスポーツカーを趣味とするユーザーのページに現れると広告の効率が高められるのである。さらに、ユーザー層に関する情報を元に作られた広告コンテンツは、ビデオ広告やフラッシュ広告など従来のバナー広告に比べて一層のインタラクティブ性を備えたものが開発された。さらにはユーザー同士の広告コンテンツの紹介や交換等がサイトの掲示板やメールを通して活発に行われるようになった。 Feffer氏はMySpaceで培ったアイデアをSodaHead.comに活用することでSNSをさらに進化させた。SNSの課題の一つにユーザーとサイトの相互関係の維持が挙げられ、多くのユーザーは、プロフィールを完成した後にサイトへの関心を無くしてしまうという問題が見受けらる。そのような中、MySpaceとFacebookは上記の問題を解決するソフトウェアの開発を外部に依頼した。一方、SodaHead.comはユーザー同士の交流をベースとしたSNSである。趣味や議論テーマなどのトピックがサイト上に掲載され、トピックに対するユーザーの応答をもとにプロフィール・サイトが作られていく。これによりプロフィールが先に作られるMySpaceやFacebookなどのSNSと比べ、よりインタラクティブなネットワーク構築に成功したと語った。 続いてMahalo.comのJeffrey氏は、SNSを以下の4つのカテゴリーに区別した。
検索サービスを提供するMahaloは当初のヤフーとよく似ているが、検索結果をソフトウェアによるものでなくユーザー自身の工夫により整理できるため、より実用的である。仕組みを簡単に説明すると、ユーザーが推奨したリンクをサーチ結果に反映させるためSNS的要素が含まれている。ユーザーはリンクを投稿したり、自己のブラウザからブックマークを取り込むことができる。 MahaloはWikipediaと同じ構成を誇り、技術面や拡張性は良く似ている一方で、コンテンツを減らしてリンク数を増やすことで差別化を図っている。SNSの要素を盛り込むことにより、検索ソフトウェアに頼らない検索サービスを提供している。MahaloやSodaHeadから示唆される点として、SNSは単なるプロフィールの集まりだけではないということである。 パネルディスカッションではソーシャル・ネットワーキング市場を巡る背景と今後の動向について議論が繰り広げられた。Momentum Venture ManagementのMacFarlane氏はソーシャル・ネットワーキングのポテンシャルについて述べ、ネットワークサイトであるInsider Pagesを2003年に設立し、同サイトは既に利益を上げている将来性あるサイトだ語った。SNSの今後については、オープン・プラットフォーム(例: GoogleのOpenSocialプラットフォーム)の導入が後押しし、市場進出へのコスト低下、広告料の標準化、そして携帯電話など移動プラットフォームとの連携が予測されると語った。そのような環境の中で、スタートアップ企業はサイト立上げを急ぐとともに、試行錯誤を繰り返しながらポテンシャルあるアイデアを生み出すことで、投資家へのアピール力を備えることが重要だと語った。 次にSK Telecom InternationalのJasin氏により、米国とアジア、特に韓国のソーシャルネットワーキング・サイトの比較が行われた。米国のサイトはオープン・プラットフォームを活用して収益源もネット広告に集中している中、韓国/アジアのサイトはクローズ・プラットフォームが中心で収益源も多様化している。韓国/アジアのモデルでは、自社内で組織的に成長を遂げてSNSを発展させている。SK Telecom社が良い例で、通信関係をコア事業とし、さらにはソーシャル・ネットワーク・サイト「Cyworld」や韓国最大手のレコード会社の運営にも携わっており、Cyworldにおける収入の約80%はネット広告ではなく、数々の関連ビジネスから得ている。例えばCyworldで歌が一曲購入される過程において、SKレコード社の歌がSKネットワーク上でSKクレジットシステムにおいて購入されるため、各々の過程で発生する利益は全てSKのものになるという利点がある。多様な事業内容をSNSでまとめることで、収益性にもレバレッジをかけることができるのである。ちなみに同モデルは米国には存在しないということであるが、SK社はMySpaceとEarthlinkと合同でJVである「Helio」を設立し、SNSへ新しいサービスや製品の研究を行っているという。昨年、米国にてCyworldのsoft launch (宣伝無しでの事業開始)に成功し、現在サービス向上へ注力している。同氏はプライバシー問題に対する規制の見直しが今後検討されるべき課題だと語った。 TechEmpoewrのKerrer氏は、スタートアップ企業が目指すのは、コンテンツ・ネットワークあるいはニッチ・ネットワークであると語った。その課題としてポータブルIDのシステム化、ニッチ・ネットワークへの十分な加入者集め、 そしてそれらを収益に梃入れする手段を述べた。さらには、既に他のネットワークに参加するユーザーが、新たなネットワークへ意欲的に移行してくれるとは限らないと語り、ネットワークの配置先となるプラットフォームの選択にも気をつけなければならないと議論した。例えばFacebookのプラットフォームを選択するならば、Facebookプラットフォームの規模を超えたネットワークは期待できない。プラットフォーム自体をゼロから築き上げる手もあるが、コスト面でそう簡単にはいかないと同氏は警告した。 次に、Shaindlin氏はソーシャル・ネットワークの「スーパー・ユーザー」としてSNSへの思いを語った。同氏が所属するCaltech Alumni AssociationはCaltech卒業生の活動サポートを行っているが、卒業生同士のネットワークを築く上で、FacebookやLinkedIn等SNSを使用している。しかしネットワーク上で卒業生同士が繋がったとしても、それ以上の活動が発生することはめったにないという。米国では教育機関の卒業生を繋ぐ基盤への需要が高い。学校の同窓会は、卒業生が現在何をしており、誰と繋がっているかのデータを必要としているが、現在それをとりまとめことはできない。もし、SNSがそのようなデータを提供できるようになれば、同窓会との提携が可能となる。 今後の市場の動向としては、サービスが収斂していくことに加え、携帯機器上でのSNSが頻繁に行われる点が挙げられた。ウェブ・サーフィング機能を搭載する携帯機器が増えている現在、様々なSNSが携帯市場への進出を図っており、キャリアーが各機種へのSNS進出に対し制限を掛けることができなくなるであろうと予測した。 SNSで重要なのは技術ではなく、ネットワークを裏付けるアイデアであり、技術・コストの壁が非常に低いことから様々な試行錯誤が可能である。ロサンゼルスにおける投資家と企業家の間では、SNSへの関心は非常に高く、MySpaceやeHarmonyに続くアイデアに大いに期待したい。 |
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