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JETRO Los Angeles, 岡本奈緒子(研究アシスタント)

~カリフォルニア発、革新的環境政策・イニシアティブ~

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経済規模で全世界で10位のカリフォルニア州は、環境分野にも率先的に取り組んでいる。経済規模が大きい反面、経済がもたらす環境汚染も規模が大きいものとなる。実際、温室効果ガスの排出量は州レベルで全米で2位になっており、長期的な経済・環境への影響を懸念して環境問題を大きな課題の一つと掲げている。州政府は、従来の体制を変えるべく、様々な政策やイニシアティブを導入し続けている。 昨年12月にロサンゼルスで開催されたGreenXchangeカンファレンスでは、幾つかのセッションを通じてカリフォルニア州の環境問題を巡る現状と今後の課題が語られた。州公益事業委員会のMichael Peevey氏、州監査責任者のJohn Chiang氏らほか多数の政府関係者が招かれ、カリフォルニア州における環境問題への取り組みが議論された。

Peevey氏は、州政府の環境対策の現状を、いくつかの政策を通じて語った。政府機関はタイムリーで画期的な政策作りを行うことで効率的に環境問題に取り組めるとし、例としてカリフォルニア州の「再生可能エネルギー・利用基準」(Renewable Portfolio Standards又はRPS)、カリフォルニア州ソーラー・イニシアティブ (California Solar Initiative 又はCSI)、そしてエネルギー効率コミットメント(Energy Efficiency Commitment又はEEC)の3つの政策を紹介した。

RPSに関しては、カリフォルニア州が米国内で最も積極的な基準を設けているとして有名である。現在、全エネルギー源のうち12%を占める再生可能エネルギーを2030年までに33%まで引き上げることが課せられている。太陽光発電市場の発展に多いに貢献しうるCSIは、次の10年間で太陽光発電を活用したインフラ構築に向けて30億ドルの補助金が投資されることになり、市場規模の拡大を早め、市場自体を自立させる体制が整えられた。2016年までに、3000MW相当の太陽光発電設備を設置することが既に決まっている。EECについては、建築物におけるエネルギー使用量をネット・ベースでゼロにすることが公約とされ、新築の住宅では2020年まで、新築の商業用ビルでは2030年までに達成することが課されたのである。また、最適な性能を保つため冷暖房機器も改修されることとなる。こうした政策的なイニシアティブにより、今まで採用されていなかった革新的な技術が今後さらに導入されることが予測される。また太陽光発電の例のように小規模な市場の成長を補助金などで手助けすることにより、民間のみの対応では到達できないことが現実となる。グリーン経営が注目されるカリフォルニア州だからこそ、このような政策も比較的スムーズに行われていると考えられる。

Chiang氏は新しい技術の導入やインフラの構築は、環境技術市場の発展だけではなく、市民の生活向上にもつながると強調した。原油価格の高騰による消費の低下は、経済に反映され、国民の不安を生む。このため、適切な価格での再生可能エネルギーの提供、それに伴うインフラ改善などを通じ、市民にオプションを与えるより良い環境作りが必要だとした。カリフォルニア州は、こうした州レベルの取組みを更に他州にも拡大すべく、投資や技術革新を促進する政策的なイニシアティブの導入を連邦政府機関にも求めている。

環境問題に対する意識を高めるという大きな課題がある中で、近年、自治体レベルの政策やインセンティブがそうした課題を乗り越えるべく積極的に取り組んできた。ロサンゼルスでの取り組みを紹介すべく、カリフォルニア州エネルギー委員会のLorraine White女史は、ラッシュアワー問題について、資源を使うものに責任を課す政策を採用していくことで住民の意識を高める政策を紹介した。このためには政府による支援が必要で、例えば代替エネルギー自動車のオプションを増やすためのインフラの導入や、公共交通機関を整えて自家用車を運転する需要を減らす努力が必要だと指摘した。ロサンゼルス都市エネルギー・環境部門の助役であるNancy Sutley女史によると、環境問題は市レベルでの取り組みが機動力を発揮すると強調した。ロサンゼルス市民にとって排気ガスは二酸化炭素よりも馴染みのあるものなので、市の政策に排気ガスの削減を盛り込んで、問題意識を高めるといった工夫が行われている。市民一人一人の行動に直接影響する現場に根ざした政策が、環境運動をロサンゼルスで着実に軌道に乗せている。

連邦政府は2007年末に「エネルギー独立・安全保障法案」を可決したところであり、米国全体が政策やインセンティブを踏まえて環境問題に取り組んできている。しかしながら、2008年の年頭にはカリフォルニア州は他州とともに連邦政府に対して起訴を起こした。Schwarzenegger州知事が掲げた排ガス規制の権限をめぐるもので、同州が引き続き積極的であることがわかる他、連邦政府の影響も注目される。環境分野でのカリフォルニア州の位置付けは高く、同州の法案を参考とする他の州が多く存在する中、同州政府は引き続き革新的なグリーン化を遂げていくだろう。新たな政策がもたらす新たな基準は研究開発と新技術の導入を促進させる起動力となり、あくまでキッカケ作りのインセンティブが深刻度が深まる環境問題と上手く組み合わさり、大きな進歩をもたらすと予測される。今まで手を出すことがなかった分野や考え方に到達する面においても、政府機関が起こす「キッカケ作り」の重要さが感じられる。連邦政府・州政府・自治体がそれぞれの規模に見合った政策を導入することで、環境問題の意識は縦にも横にも浸透していく。その中で、カリフォルニア州は着実に米国におけるリーダーとして、国全体のグリーン化を牽引している。

 
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